Project
TOP 導入事例 患者さんの命をつないだデータレスキュー
患者さんの命をつないだデータレスキュー
Client:医療法人社団順幸会 阿蘇立野病院
Solution: 電子カルテシステム
患者さんの次に大切なもの

阿蘇カルデラの玄関口に立地し、「ぬくもりと安心の医療」をテーマに地域と共に歩む医療を続けている阿蘇立野病院。ここは2016年4月16日午前1時25分に発生した熊本地震の本震で大きな被害を受け、1年間の病院閉鎖にまで追い込まれました。深夜の激しい揺れで病院の建物は大きく損壊し、電源消失、水の供給ストップ、道路の崩壊による孤立という危機的状況に陥ってしまったのです。現地との連絡が取れない中、上村理事長は、2時過ぎに病院幹部を集めて自宅を災害対策本部にし、県、医師会、災害時派遣医療チームDMATなどと連携を取りながら緊急対応を進めていました。そしてそんな時かってきた1本の電話から、こんな声が聞こえてきたのです。
「先生、今から病院に行っていいですか?」
声の主は、田中医療技術局長。彼は上村理事長の制止も振り切り、余震による強い揺れが続く中を病院まで車を走らせていきました。それから当直のスタッフと一緒に被害のない遠方の病院へ連絡を取り、患者さんの命をかけた緊急搬送をおこなっていったのです。
そして、患者さんの次に大切だったのが、患者さんのカルテや診療データ。病院内の診療データの管理を担当していた田中医療技術局長は、KISの担当者に電話し、対応を相談…。当時の様子を上村理事長と田中医療技術局長にお伺いしました。

上村晋一理事長(右)
田中幸成医療技術局長(左)
地元だからこそできる助け合いが危機を救った

――患者さん全員を無事に搬送できて本当によかったですね。建物の損壊が大きかったわけですが、コンピューターはどんな状態だったんですか?

上村 「当直の職員はベッドから放り出されて床に落ちたそうです。停電の際には重油で非常電源を動かして活動する想定をしていたのですが、大事な鍵をまとめておいていたボックス自体が飛んでしまい、非常電源用の部屋の鍵がわからなくなったので、電気もない状態でした」

田中 「KISさんにお電話して来てもらったのが19日でした。サーバーは斜めになって壁に寄りかかっている状態でした。あれがバタンと倒れていたらデータが飛んでいたと思います」

上村 「14トンもあるMRIが動いたほどだからね(笑)」

田中 「余震も続いていたし、電気がなくてコンピューターを立ち上げることもできなかったので、KISの江浦さん、松原さんと一緒に、サーバーをラックから取り外し、KISのデータセンターに保管してもらいました。データセンターは地震対策もさるものながらセキュリティーもとてもしっかりしていたので、安心して預けることができました。」

――データが無事だと聞いた時はどんなお気持ちでしたか?

田中 「本当にホッとしましたよ。本来は個人情報に関するセキュリティーの取り決めなどがあって、突然サーバーを預かってもらうことはできなかったんですが、緊急事態ということで江浦さんが会社と掛け合ってくださって」

上村 「そういうのを動かすのは人間であってね、やっぱり人間が大事なんですよ。企業によっては危険だから現地まで行けないというところもありましたが、KISさんは地元だから、こちらの事情もよくわかるし、本当に親身になってくれましたね」

――緊急時にすぐ連絡が取れるとか、対応していただけるのは、安心になりますよね。

上村 「いやー。それが一番でしょう。僕たちはこういう対応ができる会社さんとお付き合いしていかなきゃ。こういう時に助かるんですからね。今は震災前から課題だった電子カルテの導入も終わりましたし、KISさんには導入後もこちらの要望に熱心に応えていただいています。
今後は、災害に強い備えをしていくべきですよね。災害があっても電子データが全く問題なく取り出せるとか、搬送先の病院さんでも電子カルテが見られて翌日から診療できるとかね。災害に強い備えを進めて、若い人たちが誇りを持って働ける職場にしていきたいと思っています。

KIS’s eye

お客様からSOSの電話を受けた時は、すぐに「行きます」とお返事して、会社に協力を求めました。作業している間は「今、裏山が崩れてきたら・・・」と少し恐怖を感じていましたが、その時はとにかく必死で、今自分たちにできることをしようという思いでした。その後立ち入り禁止となったので、あの時行かなかったら数ヶ月入れませんでしたからね。今振り返っても行く以外の選択肢は思い浮かびません。阿蘇立野病院様への日頃の感謝の思い、そして地場企業として「地元に貢献する」という思いが体を動かしたとも思います。今後も、地場企業ならではのサポートでお客様と密にコミュニケーションを取りながら、良いものを一緒につくっていくことが私たちの喜びです。

営業:江浦正佳(右)
SE:松原章太郎(左)
Client Info

医療法人社団順幸会 阿蘇立野病院

阿蘇立野病院さまでは、現在求人を募集されています。