高知県南国市に本社を置くダイドー・タケナカベンディング株式会社は、ダイドードリンコとサントリーの自動販売機設置・管理などを行っています。自動販売機の管理は1台1台を訪問しなければなりませんが、高知県は北を四国山地、南を太平洋に面して東西に広がっているため移動距離が長く、自販機の商品補充にも時間がかかってしまいます。長距離を移動して自販機を訪れても売れていない事がある一方で、売り上げのよい場所からは売り切れの連絡がくるため、補充ルートの変更が必要になったり人手不足で十分にカバーできなくなったりと問題を抱えていました。
自販機の情報を事前に知ることができたらもっと効率的に仕事ができるのに…。そう思い改善策を探していた時に出会ったのが自販機オンラインシステムiLibra(アイリブラ)でした。その活用法と成果について、竹中利文社長にお話をお伺いました。
―――iLibraの導入は日本自動販売機協会(JAMA)様からの紹介で2021年に行われたそうですね。
竹中 はい。そうなんです。近年はコンビニやドラッグストアの台頭で自動販売機での売り上げが伸び悩んでおり、加えてルートマンの退職で人手不足が深刻化していました。1日も早く業務改善を行いたいと考えていたところ、JAMAからKISさんの商品情報が流れてきたのです。本部を通さず連絡してよいということだったのでKISさんに直接連絡したら、ぜひ商談の機会をと言っていただいたので詳細の説明を受けました。協会の紹介で信頼がありましたので不安はなかったですよ(笑)。
導入に際してはIT導入補助金の申請にも全面的にご協力いただいて、速やかに手続きできて助かりました。実際の設置に行く時も帯同してレクチャーいただき、設置に手間取った時は電話でのサポートだけでなく、設置の手伝いに来ていただいた事もありました。親身になってやっていただけたのはありがたかったです。
―――2000台の自動販売機を運営されていていらっしゃいますが、そのうち1割の200台にiLibraの通信機を設置して直近在庫収集、アラート通知、検量データ収集の3機能をご利用いただいていますね。どのような条件のところに導入されたのでしょうか?
竹中 まずはルートマンにつけたいところを聞いて管理職でふるいにかけました。最初の選定ポイントは3つありました。1つ目は移動距離が長い場所、2つ目は売り上げが低くて回転が良くない又は売り上げが高くてすぐに売り切れる場所、3つ目はビルや店舗内にあって駐車場が遠いなど、トラックから自動販売機までの移動に時間がかかる場所、です。
―――そうなのですね。それぞれの選定理由を教えていただけますか?
竹中 まず、遠い所が最優先でした。拠点からの移動時間が一番長いのは室戸市で片道1時間半かかります。それを週2回で一気にまわれるようにすれば時間も燃料代も節約できます。
次は売り上げ低迷と売り切れへの対策でしたが、つけてみるとこれはどっちもどっちでした。売り上げが低い所は頻繁にチェックする必要がないし費用対効果が低い。売り上げの高い所は頻繁に行っているから予防がしやすい。なので、どちらもつける必要ないということになりました(笑)。
トラックから自動販売機までの移動に時間がかかる場所は、ショッピングモールや病院などですね。施設が広く、業者用の出入り口も遠いので、トラックから在庫をチェックして必要な本数だけ持っていく事ができるのは効率的に仕事ができます。
―――それぞれの場所でメリットがあったのですね。
竹中 そうですね。しかし現在は、当初つけたところから変更して活用しているのですよ(笑)。今はほぼ新人さんの担当場所につけています。
―――そうなのですか!? それは驚きました。どんな理由があったのでしょうか?
竹中 ルートマンの退職が続いて人手不足というお話をしましたが、今はベテランが少なくなって新人も定着しにくくなっていまして。経験のある方は簡単にできることでも経験のない方にはわからない事が多いので、人員に余裕がある時はベテランを教育係にして同行していたのですが、今はそれができないんですね。iLibraを導入すると設置したルートマンの売り上げが見られるし、データが集積されますから、教育係がいなくても管理職がデータをもとに指導できます。セッティング内容や本数など細やかなデータが出るので、教育にも役に立つしルート回得にも役に立ちます。
―――当初とは違う展開になったのですね。ベテランの方が持つノウハウはいろいろあると思いますが、どんな場面で経験が必要とされるのでしょうか?
竹中 自動販売機の補充は、どれくらい補充すれば売り切れないかを予測しながら商品を補充していきます。売り上げの高い場所で補充のタイミングや数量を間違えると売り切れを出してしまいます。全コラム(商品棚)に商品が入っている方が効率がいいですが、逆に売り上げの低い場所で商品を満タンにしておくと消費期限切れになってしまいますし、売り上げが低いからといって調整コラム(商品を入れずに空にしておく)を増やして商品を減らしすぎると売り切れになってロスを出してしまいます。冬のホット商品は2週間で味が変わりますし、新商品入れ替え時期だと入れ替えに手間がかかるので多くは入れられません。何より、売り切れを出すことは販売チャンスを逃すことになるので、効率的に補充をしながら売り切れを出さないための工夫が必要なのです。
―――なるほど。集積したデータからいろんな対策を練る事ができるのですね。iLibraは直近在庫収集、アラート通知、定期検量データ収集の3機能をお使いになられていますが、それぞれがどのように役立っていますか?
竹中 アラート通知機能がめちゃくちゃいいですよ。売り上げだけでなくコイン紙幣つまりなどの情報も携帯に飛んでくるのでメンテナンス対応ができますし、担当ルートマンだけでなく管理職にも情報が飛んでくるので現場にいなくてもサポートできます。
定期検量データ収集は決まった時間に売り上げ本数、在庫数を通知するシステムです。場所、コラムの内容、何が何本売れているかわかるようになっています。うちは朝6時に届くようにしてあります。ルートマンの出発は朝早いので前日にルートと補充数を決めて準備されているのですが、送られてきた情報に合わせて翌日のルート変更などを行っています。
直近在庫収集は離れたところから在庫数をチェックするシステムです。自動販売機まで行かなくても駐車場からアクセスすると在庫情報を取得する事ができるので、ルートマンが補充前に在庫状況を確認し、補充に必要な分だけを運ぶ事ができます。販売数の多いところや観光地などの状況によって売れ行きが異なる場所では、必要な数だけ持っていけばいいので運搬ロスが省けました。特にショッピングモールや病院など、建物が大きく移動に時間がかかる場所ではとても役に立っています。業者用の出入り口が遠いところが多いので運搬にかかっていた労力を削減でき、効率的になりました。
―――それぞれの機能が生み出す効果があるのですね。補充業務においてはどんなことが重要だとお考えですか?
竹中 システムはあくまでツール。いかに情報を使うかが私たちの仕事なんです。現場は補充作業の他にも清掃などやらないといけないことが多いので、マネジメント面で管理職がサポートしないといけないと思っています。そのために数字が重要なんです。数字から最適な方法を考え、効率的に作業を組み立てるためのルートを考え、共有していきます。
昨今、自動販売機の1台あたりの売上高は低迷してきており、売り切れを出さないことと生産性を上げる事がとても重要になっているんです。うちでは1人あたり150台−170台を担当してもらっていて、1日あたり20万円以上の売り上げ回収を指標としていますが、冬場は夏場より売り上げが落ちるので、回得件数はもっと少なくてよくなります。売り上げが低い場所は月1回の補充で十分になるので、ルート上にあっても毎回寄らなくてよいように調整してきます。そうすればガソリン代も抑えられますし、清掃作業などにも時間をさきながら担当台数を無理なくこなす事ができるようになります。
―――現在の状況を数値化して分析し、共有化することで、全体の効率と収益性を上げていく事ができるのですね。
竹中 そうですね。自動販売機は電気の無駄使いだと叩かれたこともありましたが、東日本大震災の際に自動販売機の住所を見て場所がわかったという話があったり、夜間では明るさが防犯に役立っているという面もあります。
現在の災害支援対応のものは自動販売機の中にバッテリーが内蔵されていて、停電時も内蔵バッテリーで動かすことができるので災害時にも飲料を提供することができますし、おむつやおしり拭きも販売している子育て支援ベンダーや、森と緑の会に寄付ができる募金ベンダーなど自動販売機を通じた社会貢献活動もできることから、当社はCSV(Creating Shared Value)経営を掲げております。そういった利点も知っていただきながら、iLibraを有効的に活用し、販売数を伸ばしていけたらと思っています。
iLibra(アイリブラ)を導入いただき、ダイドー・タケナカベンディング株式会社様の自販機管理が効率化されたこと、また新人教育や生産性の向上にも貢献できていることを大変嬉しく思います。
iLibra(アイリブラ)は、これからもお客様の声を伺いならが、引き続きお客様のニーズに応じた最適なソリューションを提供してまいります。